ベルク Alban Berg(1885-1935)
アルテンベルク歌曲集 Op.4
Altenberg Lieder (1912) Seele・Wald・Grenzen・Nichts・Friede
V ここには安らぎがある
Hier ist Friede (Peter Altenburg(1859-1919))
Hier ist Friede. Hier weine ich mich aus |
ここには安らぎがある ここでとめどない涙を流した |
über alles! |
邪魔されることなく! |
Hier löst sich mein unfassbares, |
ここで想像もできない、 |
unermessliches Leid, |
計り知れない悲しみを心置きなく嘆く |
das mir die Seele verbrennt… |
私の心を砕く悲しみ |
Siehe, hier sind keine Menschen, |
ほら、ここには誰もいないし |
keine Ansiedlungen. |
入ってくる者もない |
Hier ist Friede! Hier tropft Schnee |
ここには安らぎがある!ここでは雪が |
leise in Wasserlachen… |
水たまりにひっそりと落ちてゆく |
(ゲルハーヘルのCDの英訳から)
いったい安らぎのある「ここ」とはどこだろう。
もちろん爆撃音や銃声の聞こえないところだ
自分の家だろうか。
トイレの中という人もいる。
自然の中のお気に入りの場所だろうか。
海の上
墓の中?
雪が水たまりに落ちてゆくところを想い浮かべてみる
小さな雪の塊がポンと落ちて
やがて溶け崩れる
その音に聞き耳をたてる
じっと
溶け崩れる音も
聞こえてきそうだ
どこも平和な世の中であってほしい