ハイドン Franz Josef Haydn (1732 - 1809)
Missa Sancti Bernardi von Offida in B-Dur
Heiligmesse (Hob. XXII:10) (1796)
ミサ曲 変ロ長調「オフィダの聖ベルナルドのミサ」「ハイリッヒミサ」
Nicolas De Troyer & Sint-Paulus Camerata
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I. キリエ 00:00 Ⅱ. グロリア 04:40 III クレド 13:58 IV サンクトゥス 23:00
V. ベネディクトゥス 24:50 VI. アニュス・デイ 29:30
I. キリエ 00:00
Kyrie, eleison. |
主, 憐れみ給え。 |
Christe, eleison. |
キリスト, 憐れみ給え。 |
Kyrie, eleison. |
主, 憐れみ給え。 |
Ⅱ. グロリア 04:40
Gloria in excelsis Deo. |
天においては天主にさかえあれ. |
Et in terra pax hominibus bonae voluntatis. |
地においては善意の人に平安あれ、 |
Laudamus te: benedecimus te: adoramus te: glorificamus te. |
我ら主をたたえ,主をあがめ, 主を拝礼し,主を讃美し奉る. |
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Gratias agimus tibi propter magnam gloriam tuam. |
主の光栄の大いなるがために つつしみて感謝し奉る。 |
Domine Deus, Rex coelestis, Deus Pater omnipotens. |
主なる天主, 天の王, 全能の父なる天主 |
Domine Fili unigenite, Jesu Christe. |
おんひとり子なる 主イエズス・キリスト |
Domine Deus, Agnus Dei, Filius Patris. |
主なる天主, 天主の子羊, 父の御子. |
Qui tollis peccata mundi, miserere nobis. |
主は世の罪を除き給うにより, 我らを憐れみ給え。 |
Qui tollis peccata mundi, suscipe deprecationem nostram. |
主は世の罪を除き給うにより, 我らの願いを聴き入れ給え。 |
Qui sedes ad dexteram Patris, miserere nobis. |
主は父の右に座し給うにより, 我らを憐れみ給え。 |
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Quoniam tu solus Sanctus, tu solus Dominus, tu solus Altissimus, Jesu Christe. |
そは主イエズス・キリスト, 唯一の聖, 唯一の主, 唯一の至高者にてませばなり。 |
Cum Sancto Spiritu, in gloria Dei Patris. |
主は聖霊とともに天主なる父の光栄に ましまし給うなり、 |
Amen. |
アーメン。 |
III クレド 13:58
Credo in unum Deum, Patrem omnipotentem, factorem coel; et terrae, visibilium omnium, et invisibilium. |
我は唯一の天主を信ずすなわち 全能の父, 天地とすべて見ゆる物と 見えざる物とのつくり主. |
Et in unum Dominum Jesum Christum, |
また唯一の主イエズス・キリストを 信ず |
Filium Dei unigenitum. |
天主のひとり子にて |
Et ex Patre natum ante omnia saecla. |
すべての世の前に父より生れ, |
Deum de Deo, lumen de lumine, Deum verum de Deo vero. |
天主よりの天主, 光よりの光,まことの 天主よりのまことの天主にてましまし |
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Genitum, non factum, consubstantialem |
つくられずして生れ, 父と一体にして, 万物これによりてつくられ, |
Qui propter nos homines, et propter nostram salutem, descendit de coelis. |
人たる我らのために また我らの救いのために 天より降り, |
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Et incarnatus est de Spiritu Sancto ex Maria Virgine: Et homo factus est, |
聖霊によりて童貞マリアより 人体をうけて人となり給い, |
Crucifixus etiam pro nobis: sub Pontio Pilato passus, et sepultus est. |
また我らのためにポンシオ・ピラトの 管下にて苦しみをうけ、十字架に つけられて葬られ給い, |
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Et resurrexit tertia die, secundum Scripturas. |
3日目に聖書にありしごとく よみがえり給い, |
Et ascendit in coelum, sedet ad dexteram Patris. |
天に昇りておん父の右に座し, |
Et iterum venturus est cum gloria judicare vivos et mortuos: cujus regni non erit finis. |
しかして生ける人と死せる人をさばかん ために光栄をおびて再び来り給い, かつその王国は終りなかるべし. |
Et in Spiritum Sanctum, |
また主にして, |
Dominum et vivificantem: qui ex Patre Filioque procedit. |
いのちの主なる聖霊を信ず, すなわち父および子よりいで, |
Qui cum Patre et Filis simul adoratur, et conglorificatur: qui locutus est per prophetas. |
父と子とともにおがみ 尊まれ給いて 予言者をもって語り給えり, |
Et unam, sanctam, catholicam et apostolicam Ecclesiam. |
また一にして聖, 公, 使徒伝来なる教会を信ず, |
Confiteor unum baptisma in remissionem peccatorum. |
罪のゆるされんめに 一の洗礼を信ず、 |
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Et expecto resurrectionem mortuosum, Et vitam ventuli saeculi. |
死したるもののよみがえりと 未来のいのちとを待ち奉る. |
Amen. |
アーメン. |
IV サンクトゥス 23:00
Sanctus, Sanctus, |
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Sanctus Dominus Deus Sabaoth! |
聖なるかな,万軍の天主なる主, |
Pleni sunt coeli et terra gloria tua. |
主の栄えは天地にみちみてり. |
Hosanna in excelsis! |
いと高きところまでホザンナ. |
V. ベネディクトゥス 24:50
Benedictus qui venit in nomine Domini. |
主のみ名によりて来れる者は 祝せられさせ給え. |
Hosanna in excelsis! |
いと高きところまでホザンナ. |
VI. アニュス・デイ 29:30
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi: |
世の罪を除き給う天主の子羊, |
miserere nobis. |
我らを憐れみ給え. |
Agnus Dei, qui .......... |
……….天主の子羊, |
miserere nobis. |
我らを憐れみ給え. |
Agnus Dei, qui .......... |
……….天主の子羊, |
dona nobis pacem. |
我らに平安を与え給え。 |
ハイドンは最後の交響曲を作った後、6つのミサ曲を作曲している。
ハイドン 6つのミサ曲
作曲 |
初演 |
番号Hob. |
曲名 |
1796 |
1796.12.26 |
XXII:9 |
戦時のミサ(太鼓ミサ)ハ長調 |
1796 |
1796.9.13 |
XXII:10 |
ハイリッヒミサ 変ロ長調 |
1798 |
1798.9.28 |
XXII:11 |
不安な時代のミサ(ネルソンミサ)ニ短調 |
1799 |
1799.9.8 |
XXII:12 |
テレジアミサ 変ロ長調 |
1801 |
1801.9.13 |
XXII:13 |
|
1802 |
1802.9.8 |
XXII:14 |
ハルモニーミサ 変ロ長調 |
ホーボーケン番号と異なって、帰国後最初に作られたのがこのハイリッヒミサらしい。
新しい主君のニコラウス二世は教会音楽に関心を持ち、公爵夫人の命名日の祝祭のために毎年新しいミサを作曲することを命じたという。
二つのオラトリオも作曲されている。
交響曲104番ロンドンの後だから、これらの作品はさらに充実して素晴らしいのに決まってる。
このハイリッヒミサとパウケンミサが作曲された1796年はトランペット協奏曲も作曲された年だ。
トランペット協奏曲の初演者のアントン・ヴァイディンガーもこのミサの演奏に参加していた可能性は高いのではないか。
中野博詞氏が『ハイドン 復活』(春秋社)で述べているように、これらのミサ曲を声楽を伴う3つの交響曲の集合体として捉えるととても聴きやすいし、長時間ぶっ続きで聴かずに区切って聴くことができる。
ハイリッヒ・ミサは「オフィダの聖ベルナルドのミサ」とハイドンが名付けたそうだ。
17世紀のベルナルドという修道士が1795年に当時の教皇によって聖人に列せられ、翌年の1796年にハイドンが聖ベルナルドへの賛美として作曲されたとのこと。
ハイリッヒはサンクトゥスのドイツ語にあたり、当時のオーストリアで親しまれていた古い賛歌の旋律が用いられているのでこのニックネームがつけられたそうだ。
第1の部分はキリエとグローリア。
キリエが序奏を伴う第1楽章で、グローリアが3つの部分に分かれ3つの楽章として見ると、全体で4楽章の交響曲のような構成と捉えることができる。
キリエは交響曲の1楽章と同じように、アダージョの序奏から始まりアレグロに突っ込む。
キリエ・エレイソンという力強く晴れやかな合唱とともにアダージョが始まる。
グローリアの第1の部分はヴィヴァーチェ、ラッパとティンパニの信号で始まりリズミックでいきがいい
グローリアの次の部分は緩徐楽章のようにソロの四重奏でゆったりしている。
ピューアレグロで合唱が入ってくる。
グローリアの第3の部分は第1の部分のような雰囲気がまた戻ってくる。
祝祭的な晴れやかな音楽だ。
第1の部分はキリエとグローリアだ。
キリエが序奏を伴う第1楽章で、グローリアが3つの部分に分かれ3つの楽章として見ると、全体で4楽章の交響曲のような構成と捉えることができる。
I Kyrie ( Adagio - Allegro moderato)
II Gloria: 'Gloria in excelsis Deo' ( Vivace )
‘Gratias agimus tibi' ( Allegretto - Piu Allegro )
‘Quoniam tu solus sanctus’. ( Vivace )
第2の部分はクレドのみで、4つの部分に分かれる。
III Credo: 'Credo in unum Deum' ( Allegro )
‘Et incarnatus est ( Adagio )
‘Et resurrexit' ( Allegro )
‘Et vitam venturi saeculi' ( Vivace assai )
この部分も急緩急急と交響曲のような配置。
最初の部分がリズミックで印象的。
第3の部分はサンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス・デイで、アニュス・デイは2つの部分に分かれる。
IV Sanctus. ( Adagio - Allegro )
V Benedictus. (Moderato )
VI Agnus Dei: 'Agnus Dei' ( Adagio )
‘Dona nobis pacem ( Allegro )
サンクトゥスの最初の部分がハイリッヒの言葉に始まる当時親しまれていた古いコラール旋律に基づいたものだという。
全体を通して祝祭的な雰囲気が伺える。
キリエとグローリアがとても印象的だった。
古典の音楽は特にトランペットとティンパニがアクセントになり、威厳や荘厳さが増すから大好きだ。