マーラー 嘆きの歌(2)吟遊詩人 Das Klangende Lied / Mahler

マーラー  Gustav Mahler (1860-1911)

嘆きの歌 Das Klangende Lied  (1878-80)
2. 吟遊詩人 Der Spielmann
(text: グスタフ・マーラー  Gustav Mahler)

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2. 吟遊詩人

Beim Weidenbaum, im kühlen Tann,

柳の木のそば、涼しいモミの林の中

da flattern die Dohlen und Raben, 

カラスや大カラスたちが群がるところ

da liegt ein blonder Rittersmann 

金髪の騎士が横たわっている

unter Blättern und Blüten begraben.

葉や花の下に埋められて

Dort ist's so lind und voll von Duft, 

そこの空気は穏やかでもやが立ち込めている

als ging ein Weinen durch die Luft!

あたかも泣いているかのように

O Leide, weh! O Leide!

おお、悲しい、おお、悲しい

 

 

Ein Spielmann zog einst des Weges daher,

ある日旅するひとりの楽師が通りかかり

da sah er ein Knöchlein blitzen;

小さな骨がきらりと光るのを見つけた

er hob es auf,als wär's ein Rohr,

笛かと思ってそれを拾い上げた

wollt' sich eine Flöte draus schnitzen.

そしてそれで笛を作った

O Spielmann,lieber Spielmann mein,

おお、楽師よ、愛すべき吟遊詩人よ

das wird ein seltsam Spielen sein!

その調べはとても奇妙だろう

O Leide,weh! O Leide!

おお、悲しい、おお、悲しい

 

 

Der Spielmann setzt die Flöte an

楽師はその笛を唇に当てると

und läßt sie laut erklingen:

大きくはっきり響かせた

O Wunder,was nun da begann,

奇跡なことに、なんと始まった

welch seltsam traurig Singen!

なんと奇妙で悲しく歌うのだ

Es klingt so traurig und doch so schön,

とても悲しくとても美しい調べ

wer's hört,der möcht' vor Leid vergehn!

それを聴く者は誰も悲しみにくれてしまう

O Leide,Leide!

おお、悲しい、悲しい

 

 

“Ach,Spielmann,lieber Spielmann mein!

「ああ、楽師よ、愛すべき吟遊詩人よ

Das muß ich dir nun klagen:

私の悲しみをあなたに歌わなければならない

Um ein schönfarbig Blümelein

美しいひとつの小さな花のために

hat mich mein Bruder erschlagen!

兄が私を殺したのだ

Im Walde bleicht mein junger Leib,

若い私の体は森の中で腐敗していく

mein Bruder freit ein wonnig Weib!”

可愛い花嫁と兄が結婚する間に」

O Leide,Leide,weh!

ああ、悲しい、悲しい

 

 

Der Spielmann ziehet in die Weit',

楽師は遠く広くさまよう

läßt' überall erklingen,

その調べはいたるところで聴かれた

Ach weh,ach weh,ihr lieben Leut',

おお、悲しい、悲しい、親愛なる皆さん

was soll denn euch mein Singen?

私の歌はあなた方にどう響くだろう

Hinauf muß ich zu des Königs Saal,

私は王の宮殿に上がっていかねばならない

hinauf zu des Königs holdem Gemahl!

王の優しい妻のところに

O Leide,weh,o Leide!

おお、悲しい、悲しい

(サンフランシスコ響のCDの英訳から)

 

マーラー「嘆きの歌」の第2部。

第2部「吟遊詩人」、殺された弟の骨で作られた笛が歌う悲しい調べ。楽師はその笛とともに旅する。

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マーラー年表

1860(0歳)

7月7日,グスタフ・マーラー、ボヘミアのカリシュトにて生まれる。同年一家はモラヴイアのイラーヴァ(イーグラク)に移住。

 

865(5歳)

この頃から音楽のレッスンを始める。

 

1870(10歳)

イラーヴァで初めてのピアノ演奏会。

 

1875(15歳)

ウィーン音楽院に入学。

 

1876(16歳)

ウィーン音楽院でピアノ演奏と作曲で一等賞を得る。

 

1877(17歳)

ウィーン大学でブルックナーの講義を受ける。

 

1878(18歳)

<ピアノ五重奏曲>により作曲賞を受賞。同年ウィーン音楽院を卒業。ブルックナー<交響曲第3番>の4手ピアノ編曲を出版。

 

1880(20歳)

<嘆きの歌>(初稿)完成。

カンタータ 嘆きの歌

春に

冬の歌

緑野の5月の踊り

1881(21歳)

<嘆きの歌>ベートーヴェン賞に落選。リュブリャナ(ライバッハ)の州立歌劇場で指揮。

 

1882(22歳)

<北欧交響曲>完成。後に破棄。

 

1883(23歳)

モラヴィアのオロモーツ(オルミュッツ)、ウィーンでオペラの指揮。カッセルの王立歌劇場音楽監督に就任。

若き日の歌 第1集 5曲

1885(25歳)

くさすらう若人の歌>完成。ライプツイヒ、プラハでオペラの指揮。

さすらう若人の歌

1886(26歳)

ライプツィヒでニキシュの助手となる。

 

1887(27歳)

R.シュトラウスと知り合う。民謡集く子供の魔法の角笛)を知る。

 

1888(28歳)

<交響曲第1番>(初稿)完成。ウェーバーの未完のオペラく3人のピント>を補筆完成、初演。ブダペスト王立歌劇場の音楽監督に就任。

 

1889(29歳)

<交響曲第1番>,く交響詩>としてブダペストで初演。2月に父,10月に母が死去。

 

1891(31歳)

ブダペスト王立歌劇場の音楽監督を辞任。ハンブルク市立歌劇場主席指揮者に就任。

若き日の歌 第2集 4曲

若き日の歌 第3集 5曲

1892(32歳)

歌曲集(若き日の歌)出版。ロンドン楽旅。

 

1894(34歳 )

<交響曲第2番>完成。シューベルトの弦楽四重奏曲く死と乙女>を弦楽合奏用に編曲。ブルーノ・ワルターと知り合う。

 

1895(35歳)

<交響曲第2番>ベルリンで初演。

 

1896(36歳)

<交響曲第3番>完成。<さすらう若人の歌>ベルリンで初演。

 

1897(37歳)

ユダヤ教からカトリックに改宗。ハンブルク市立歌劇場主席指揮者を辞任。ウィーン宮廷歌劇場芸術監に就任。モスクワに楽旅。

 

1898(38歳)

ウィーン・フィルの指揮者に就任。

少年の魔法の角笛 全12曲

1899(39歳 )

<少年の魔法の角笛>この頃までに完成。<嘆きの歌)(改訂版)完成。

 

1900(40歳)

<交響曲第4番>完成。ウィーン・フィルを指揮してパリ万国博で演奏会。

 

1901(41歳)

<嘆きの歌)(改訂版)をウィーンで、(交響曲第4番>をミュンヘンで初演。ウィーン・フィルの指揮者を辞任。

 

1902(42歳)

<交響曲第5番>くリュッケルトの詩による5つの歌曲>完成。

<交響曲第3番>クレーフェルトで初演。アルマ・シントラーと結婚。長女マリア・アンナ誕生。ウィレム・メンゲルベルクと知り合う。

 

1903(43歳)

 

リュッケルトの詩による5つの歌曲

1904(44歳)

<交響曲第6番><亡き子をしのぶ歌>完成。<交響曲第5番>ケルンで初演。次女アンナ・ユスティーナ誕生。シェーンベルクと知り合う。

亡き子をしのぶ歌

1905(45歳)

<交響曲第7番>完成。く亡き子をしのぶ歌>くリュッケルトの詩による5つの歌曲>初演。

 

1906(46歳)

<交響曲第6番>エッセンで初演。

 

1907(47歲)

<交響曲第8番>完成。長女マリア・アンナ死。ウィーン宮廷歌劇場を去り、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の指揮者として契約。

 

1908(48歳)

<大地の歌>完成。<交響曲第7番>プラハで初演。

 

1909(49歳)

ニューヨーク・フィルと契約。多くのコンサートを指揮。

大地の歌

1910(50歳)

<交響曲第9番>完成。<交響曲第8番>ミュンヘンで初演。<交響曲第10番>に着手。

 

1911(51歳)

2月、ニューヨークでオーケストラの最後の演奏会。病気のままパリを経由してウィーンに戻り、5月18日死去。<交響曲第10番>は未完に終わる。11月<大地の歌>ブルーノ・ワルターの指揮にてミュンヘンで初演。

 

1912

<交響曲第9番>ブルーノ・ワルターの指揮にてウィーンで初演。

 

1924

<交響曲第10番>の2つの楽章(アダージョプルガトリオ)初演。

 

1935

<嘆きの歌>(初稿)アルフレート・ロゼーの指揮で初演。

 

1955

国際マーラー協会設立。

 

1964

アルマ・マーラー死去。<交響曲第10番>デリック・クックによる完成版初演。

 

(音楽乃友社、作曲家別名曲解説ライブラリー1「マーラー」とウィキペディア「マーラー作品一覧」を参考にした)

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diary 2024-11-28(木) 月齢 26.6 晴れ
スズキのバッハ・カンタータBWV 100、14、197、197a、ブルックナー・交響曲(2)・5番をチェリビダッケで聴く。マーラーの「嘆きの歌(2)吟遊詩人」をアップ。「(1)森のメルヘン」でYouTubeデータの中のハイティンクとクルト・リヒターの録音はマーラーが(1)をカットした版だったので除外した。

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