マーラー 嘆きの歌(3)婚礼の出来事 Das Klangende Lied / Mahler

マーラー  Gustav Mahler (1860-1911)

嘆きの歌 Das Klangende Lied  (1878-80)
3. 婚礼の出来事 Hochzeitsstück
(text: グスタフ・マーラー  Gustav Mahler)

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3. 婚礼の出来事

Vom hohen Felsen erglänzt das Schloss,

高い崖の上、城は輝いている

die Zinken erschalln und Drometten.

コルネットとトランペットが鳴り響く

Dort sitzt der mutigen Ritter Tross, 

勇敢な騎士たちが集まっている

die Frauen mit goldenen Ketten.

女性たちは金で着飾っている

Was will wohl der jubelnde, fröhliche Schall?

この歓声の騒ぎはなぜなのだろう

Was leuchtet und glänzt im Königssaal?

王の広間で光り輝くのは何だろう

O Freude, heiah! Freude!

おお、喜ばしいこと

 

 

Und weißt du's nicht, warum die Freud'?

この祝い事が何なのか知らないのか

Hei! Dass ich dir's sagen kann!

それでは教えてあげよう

Die Königin hält Hochzeit heut' mit dem jungen Rittersmann!

今日、女王が騎士と結婚するのだ

Seht hin, die stolze Königin!

誇り高い女王である彼女を見よ

Heut' bricht er doch, ihr stolzer Sinn!

今日、彼女の誇りは破られる

O Freude, heiah! Freude!

おお、喜ばしいこと

 

 

Was ist der König so stumm und bleich?

なぜ王はあんなに黙って青白い顔をしているのだ

Hört nicht des Jubels Töne!

祝祭の音を聞いていない

Sieht nicht die Gäste stolz und reich,

誇り高い裕福な客たちや

sieht nicht der Königin holde Schöne!

美しい女王を見ていない

 

 

Was ist der König so bleich und stumm?

なぜ王はあんなに黙って青白い顔をしているのだ

Was geht ihm wohl im Kopf herum?

何を考えているのだろう

Ein Spielmann tritt zur Türe herein!

ひとりの旅する楽師がドアのところに入ってくる

Was mag's wohl mit dem Spielmann sein?

なぜここにやってきたのだ

O Leide, weh! O Leide!

おお、悲しいこと、おお、悲しいこと

 

 

"Ach Spielmann, lieber Spielmann mein,

「ああ、楽師よ、愛すべき吟遊詩人よ

das muß ich dir nun klagen:

お前に私の悲しみを歌わねばならない

Um ein schönfarbig Blümelein

美しい小さな花のために

hat mich mein Bruder erschlagen!

兄が私を殺したのだ

Im Walde bleicht mein junger Leib,

私の若い体は森の中で腐敗していく

mein Bruder freit ein wonnig Weib!"

兄が可愛い花嫁と結婚する間に」

O Leide, Leide, weh!

おお、悲しいこと、おお、悲しいこと

 

 

Auf springt der König von seinem Thron

王は玉座から跳びあがり

und blickt auf die Hochzeitsrund'.

結婚の祝宴を見つめる

Und er nimmt die Flöte in frevelndem Hohn

尊大な態度で彼は笛を取りあげ

und setzt sie selbst an den Mund!

自分の唇に当てる

O Schrecken, was nun da erklang!

恐ろしいこと、今その音が聞かれる

Hört ihr die Märe, todesbang?

この話を聞いてぞっとするだろうか

 

 

"Ach Bruder, lieber Bruder mein,

「おお、兄よ、私の愛すべき兄、

du hast mich ja erschlagen!

あなたは私を殺した

Nun bläst du auf meinem Totenbein,

今、あなたは死んだ私の骨で作られた笛を吹く

des muß ich ewig klagen!

私はいつまでも悲しみの中

Was hast du mein junges Leben

なぜあなたは私の若い命を

dem Tode hingegeben?"

死に追いやったのか」

O Leide, weh! O Leide!

おお、悲しいこと、おお、悲しいこと

 

 

Am Boden liegt die Königin,

女王は気を失って床に倒れてしまった

die Pauken verstummen und Zinken.

太鼓もコルネットも静まる

Mit Schrecken die Ritter und Frauen fliehn,

恐ろしさのあまり、騎士たちも女性たちも逃げていく

die alten Mauern sinken!

古い壁が崩れていく

Die Lichter verloschen im Königssaal!

王の広間の明かりが消える

Was ist wohl mit dem Hochzeitsmahl?

婚礼の宴はどうなってしまうのだ

Ach Leide!

おお、悲しいこと

(サンフランシスコ響のCDの英訳から)

 

マーラー「嘆きの歌」の第3部。

第3部「婚礼の出来事」、女王の結婚の宴、楽師の笛は恐ろしい真実を語りだす。

 マーラー年表  close 

マーラー年表

1860(0歳)

7月7日,グスタフ・マーラー、ボヘミアのカリシュトにて生まれる。同年一家はモラヴイアのイラーヴァ(イーグラク)に移住。

 

865(5歳)

この頃から音楽のレッスンを始める。

 

1870(10歳)

イラーヴァで初めてのピアノ演奏会。

 

1875(15歳)

ウィーン音楽院に入学。

 

1876(16歳)

ウィーン音楽院でピアノ演奏と作曲で一等賞を得る。

 

1877(17歳)

ウィーン大学でブルックナーの講義を受ける。

 

1878(18歳)

<ピアノ五重奏曲>により作曲賞を受賞。同年ウィーン音楽院を卒業。ブルックナー<交響曲第3番>の4手ピアノ編曲を出版。

 

1880(20歳)

<嘆きの歌>(初稿)完成。

カンタータ 嘆きの歌

春に

冬の歌

緑野の5月の踊り

1881(21歳)

<嘆きの歌>ベートーヴェン賞に落選。リュブリャナ(ライバッハ)の州立歌劇場で指揮。

 

1882(22歳)

<北欧交響曲>完成。後に破棄。

 

1883(23歳)

モラヴィアのオロモーツ(オルミュッツ)、ウィーンでオペラの指揮。カッセルの王立歌劇場音楽監督に就任。

若き日の歌 第1集 5曲

1885(25歳)

くさすらう若人の歌>完成。ライプツイヒ、プラハでオペラの指揮。

さすらう若人の歌

1886(26歳)

ライプツィヒでニキシュの助手となる。

 

1887(27歳)

R.シュトラウスと知り合う。民謡集く子供の魔法の角笛)を知る。

 

1888(28歳)

<交響曲第1番>(初稿)完成。ウェーバーの未完のオペラく3人のピント>を補筆完成、初演。ブダペスト王立歌劇場の音楽監督に就任。

 

1889(29歳)

<交響曲第1番>,く交響詩>としてブダペストで初演。2月に父,10月に母が死去。

 

1891(31歳)

ブダペスト王立歌劇場の音楽監督を辞任。ハンブルク市立歌劇場主席指揮者に就任。

若き日の歌 第2集 4曲

若き日の歌 第3集 5曲

1892(32歳)

歌曲集(若き日の歌)出版。ロンドン楽旅。

 

1894(34歳 )

<交響曲第2番>完成。シューベルトの弦楽四重奏曲く死と乙女>を弦楽合奏用に編曲。ブルーノ・ワルターと知り合う。

 

1895(35歳)

<交響曲第2番>ベルリンで初演。

 

1896(36歳)

<交響曲第3番>完成。<さすらう若人の歌>ベルリンで初演。

 

1897(37歳)

ユダヤ教からカトリックに改宗。ハンブルク市立歌劇場主席指揮者を辞任。ウィーン宮廷歌劇場芸術監に就任。モスクワに楽旅。

 

1898(38歳)

ウィーン・フィルの指揮者に就任。

少年の魔法の角笛 全12曲

1899(39歳 )

<少年の魔法の角笛>この頃までに完成。<嘆きの歌)(改訂版)完成。

 

1900(40歳)

<交響曲第4番>完成。ウィーン・フィルを指揮してパリ万国博で演奏会。

 

1901(41歳)

<嘆きの歌)(改訂版)をウィーンで、(交響曲第4番>をミュンヘンで初演。ウィーン・フィルの指揮者を辞任。

 

1902(42歳)

<交響曲第5番>くリュッケルトの詩による5つの歌曲>完成。

<交響曲第3番>クレーフェルトで初演。アルマ・シントラーと結婚。長女マリア・アンナ誕生。ウィレム・メンゲルベルクと知り合う。

 

1903(43歳)

 

リュッケルトの詩による5つの歌曲

1904(44歳)

<交響曲第6番><亡き子をしのぶ歌>完成。<交響曲第5番>ケルンで初演。次女アンナ・ユスティーナ誕生。シェーンベルクと知り合う。

亡き子をしのぶ歌

1905(45歳)

<交響曲第7番>完成。く亡き子をしのぶ歌>くリュッケルトの詩による5つの歌曲>初演。

 

1906(46歳)

<交響曲第6番>エッセンで初演。

 

1907(47歲)

<交響曲第8番>完成。長女マリア・アンナ死。ウィーン宮廷歌劇場を去り、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の指揮者として契約。

 

1908(48歳)

<大地の歌>完成。<交響曲第7番>プラハで初演。

 

1909(49歳)

ニューヨーク・フィルと契約。多くのコンサートを指揮。

大地の歌

1910(50歳)

<交響曲第9番>完成。<交響曲第8番>ミュンヘンで初演。<交響曲第10番>に着手。

 

1911(51歳)

2月、ニューヨークでオーケストラの最後の演奏会。病気のままパリを経由してウィーンに戻り、5月18日死去。<交響曲第10番>は未完に終わる。11月<大地の歌>ブルーノ・ワルターの指揮にてミュンヘンで初演。

 

1912

<交響曲第9番>ブルーノ・ワルターの指揮にてウィーンで初演。

 

1924

<交響曲第10番>の2つの楽章(アダージョプルガトリオ)初演。

 

1935

<嘆きの歌>(初稿)アルフレート・ロゼーの指揮で初演。

 

1955

国際マーラー協会設立。

 

1964

アルマ・マーラー死去。<交響曲第10番>デリック・クックによる完成版初演。

 

(音楽乃友社、作曲家別名曲解説ライブラリー1「マーラー」とウィキペディア「マーラー作品一覧」を参考にした)

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diary 2024-11-30(土) 月齢 28.6 晴れ
クイケンのバッハ・カンタータBWV 61、36、62、132、マーラー・嘆きの歌(3)婚礼の出来事を9つの演奏で聴く。マーラーの「嘆きの歌」全曲をアップ。終曲の一番最後の強烈な一撃にいつも驚いてしまう。ロジェヴェンがいい。

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